スズメバチについて

日本で被害を与える蜂は、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類ですが、一番危険なのはスズメバチです。何度も針を刺すほど凶暴で、「毒のカクテル」と呼ばれるほど毒も強く、警報フェロモンで仲間を呼び集団で人を襲います。この記事では見分け方と特徴をお伝えします。

蜂駆除

スズメバチの見分け方

スズメバチとアシナガバチは細身で腰の部分がくびれています。アシナガバチの方がより細く、後ろ足が長く、足をだらりと下げてふらふらと飛びます。直線的に飛んでいればスズメバチと見ることができます。ミツバチは毛が全体に密生しており見分けがつきやすいです。

スズメバチの特徴

スズメバチは大型の蜂で、日本に生息しているもののうち人を刺す代表的なものは3種類で、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、オオスズメバチです。
種類によって異なりますが、体長は17ミリから45ミリほどで、他の蜂に比べると大型になります。なおオオスズメバチがスズメバチの中で最大のものであり、蜂の中でも世界最大となります。
体色はオオスズメバチは橙色の頭と黒の胸部と黄橙色の腹部になります。キイロスズメバチは黒色に黄班があり、コガタスズメバチは黒褐色で腹部の各節に黄帯があります。

スズメバチの生態

活動時期は5月から11月です。

4月下旬から、冬眠から覚めた女王蜂が一匹で巣作りを始めます。この頃の巣は徳利をひっくり返したような形をしており、球形に長い筒状の出入り口が付いています。巣は丸く入口が一つだけあり、六角形の蜂の巣の構造は外からは見ることができません。

6月から7月が巣を作る時期で、直接に刺激を与えない限り、人を刺すことは少ないです。

夏はスズメバチの活動が盛んになる時期で、巣も大きくなります。次の女王蜂が生まれてくる秋が最も気性が荒くなります。9月から10月にかけては最も大きなサイズとなり、新しい女王蜂を守ろうとしてスズメバチは極めて攻撃的になります。

新しい女王蜂は冬眠して越冬しますが、それ以外の蜂は11月下旬頃にはほとんど死滅してしまいます。

スズメバチの攻撃性

スズメバチは動きが早く攻撃性が高いです。巣の近くを通っただけで襲われるケースもあり、毎年20名ほどがスズメバチに襲われて死亡しています。

スズメバチの毒液は「毒のカクテル」と呼ばれ、特に神経毒は強力な作用があります。刺されるたびに毒が効きやすくなり、1度目よりも2度目に刺された時の方が危険です。

蜂は一度針を刺すと死んでしまうと言われますが、スズメバチの針は毒液が続く限り何度でも刺すことができます。そのため続けて攻撃されることがあり、刺される回数が多いほど毒が効きやすくなります。人によってはアナフィラキシーショックが起こります。

スズメバチの攻撃は刺すだけではなく、毒を霧のように撒き散らす攻撃もします。この毒液が目に入ると失明することがあり、呼吸器官に入っても呼吸困難を引き起こすことがあります。さらに、この毒液には仲間を呼び寄せるためのフェロモンが含まれており、毒液を噴霧した場所に他のスズメバチが集まってきます。

8月下旬から10月頃は、キイロスズメバチがオオスズメバチの攻撃を受けていることが多く、巣全体が警戒を強めている時期です。巣の存在に気がつかずに接近すると、数匹の働き蜂がまとわりつくように飛行し、その蜂を手で払いのけようとすると、警戒フェロモンが発散され、瞬時に興奮した蜂に囲まれて、非常に危険な状態になります。
スズメバチは急激な動きや大きな音に反応します。このような場合は、走らず、逃げず、騒がず、静かに身を低くして、ゆっくりと後ずさりしてください。もし刺された場合は、早急に病院で治療を受けましょう。

スズメバチの巣の特徴

スズメバチの巣の利用は一年だけで、翌年は別の巣を作ります。一つの巣には1000匹ほどのスズメバチが住んでいます。近年スズメバチの巣や群れが大型化する傾向にあり、幼虫を育てるための大量の餌を必要とします。餌となる昆虫を確保しやすい山間部に巣を作るとされてきましたが、近年では都市部でも見られるようになってきており、軒下や屋根裏、木の枝など、あらゆるところでスズメバチの巣を確認することができます。

スズメバチは、雨風をしのぐことのできる閉鎖空間に巣を作ります。スズメバチの巣の形は、女王蜂だけで巣を作り始める初期は徳利を逆さまにしたような形をしており、成熟期にはバレーボールのような形になります。(アシナガバチの巣はシャワーヘッドのような形で六角形の部屋がいくつも並んでいます。ミツバチの巣は六角形の部屋が並び平らな形状をしています。)
巣のサイズは10センチメートルから40センチメートル程度ですが、最大のものは1メートルを超えるものもあります。木片や樹木をかじったものを唾液と混ぜて何層にも重ね作り、球体で外壁がありマーブル模様の縞があるという特徴は、スズメバチの種類を問わず共通しています。
スズメバチの巣は出入り口が一つの事が多く、完成した穴からは見張り役の蜂が常に外を監視しています。

スズメバチの種類

日本に生息しているスズメバチは、スズメバチ属が8種、クロスズメバチ属が5種、オナガスズメバチ属4種の、3属17種がいます。ここでは特徴的な3種類のスズメバチについて説明をします。

オオスズメバチ

オオスズメバチは強力な毒針と強い顎を持っています。攻撃性も非常に強く、7月から11月には刺される被害が多発します。毒液は毒性が強い上に出す量も多く、刺された時の痛みや腫れは蜂の中で最も激しく、多数の蜂に刺された場合、死に至ることもあります。
体長は27 mm から40 mm ほどで、女王蜂は45 mm の大きさになります。
飛ぶときのスピードは最速で時速40 km 近くに達し、攻撃時は顎をカチカチ鳴らして針を何度も突き刺します。
餌をめぐって多種類の蜂と戦います。攻撃性の強いオオスズメバチは、ミツバチなどの巣を攻撃し絶滅させ、幼虫を餌として自分たちの巣に運び去ります。
巣は土の中に作ることが多く、樹木の穴や土壁の中に作ることもあります。外から見つけることが困難なため、人間が知らずに巣を刺激してしまうケースが後を絶ちません。

キイロスズメバチ

オオスズメバチについて危険な蜂で、気性が荒く、刺された場合は死に至ることもあります。
全国に分布し、スズメバチ属の中で最も普通に見られます。都市部や市街地でも数多く発生していて、人家の近くに巣を作ることもあるため、被害件数は最も多くなります。
体長は17 mm から24 mm ほどで、女王蜂は26mm前後になります。
胴体全体に黄色の毛が密生しており、飛んでいるときは橙黄色に見えます。
キイロスズメバチの巣はスズメバチの中で最も大きくなり、直径が1メートルになることもあります。軒下や屋根裏、床下、木の枝など、閉鎖的な空間のどこにでも見ることができ、巣に近づくと特に攻撃性が高くなります。

コガタスズメバチ

コガタスズメバチは全国に分布し、キイロスズメバチと並んで、日本で最も多いスズメバチの種類になります。コガタスズメバチはスズメバチの中では攻撃性が弱く、比較的穏やかな性質で、静かに近づけばほぼ刺されません。
体長は20 mm から27 mm ほどで、女王蜂は26 mm 前後になります。
体は黒褐色で黄色の縞模様がありキイロスズメバチより黒部分が多いです。
コガタスズメバチは、葉の茂った庭木や生け垣など、中低木の茂みの中に巣を作ることが多いのですが、軒下に巣を作ることもあります。作り始めの巣は徳利を逆さまにした形状で、成熟期にはマーブル模様のついた茶色のバレーボールのような丸い形になります。